2017年10月に始まった「裁判手続等のIT化検討会」は、翌年3月に「裁判手続等のIT化に向けた取組み―『3つのe』の実現に向けて―」を発表しました。この報告書では、将来的な法改正を前提として、民事訴訟制度を支えるITシステムを「3つのe」というサブシステムに分けて構築する考え方が示されています。ここで示された「3つのe」には、e事件管理、e提出、e法廷という要素が含まれます。
なお、本ブログでは合わせてmints(民事裁判書類電子提出システム)を学習させたAI botを試用できる旨を紹介していますので、興味のある方はそちらも参考にしてみてください。
💡 mintsのことを学習させたAI botを作成しましたので、こちらからお試しください。
「3つのe」は以下のように構成されています:
「3つのe」を実現するための計画は段階的に進められています。
フェーズ3の本格導入に先立ち、まず準備書面や書証のオンライン提出を先行して実施することが決まりました。この措置を支えるシステムとして、裁判所がmints(民事裁判書類電子提出システム)を構築し、提供しています。mintsは現行の民事訴訟法第132条の10に基づき設置され、2023年11月28日から全国の地方裁判所支部で運用が開始されました。これによって、準備書面や書証の写しなどをオンラインで提出することが可能になります。
mintsを利用するためには、まずは裁判所職員から利用者登録のための招待メールを受信する必要があります。初めて利用する当事者は、サインアップ(利用者登録)し、アカウントを作成します。また、ユーザが補助者を指定したい場合は、補助者ユーザ側でもサインアップが完了した後で、親ユーザ(当事者ユーザ)のアカウント設定画面から補助者ユーザのIDを登録する仕組みが用意されています。1人の親ユーザは最大5つまで補助者ユーザを設定できますが、同一の補助者ユーザを複数の親ユーザが共有することはできません。
招待メールの受信:
補助者ユーザの設定:
mints(民事裁判書類電子提出システム)は、日本における司法手続のIT化を大きく推進する重要なステップです。書類のオンライン提出や事件管理の一元化、e法廷の活用により、裁判の進行がスムーズになり、当事者や弁護士の負担が軽減されることが期待されています。こうしたIT化の取り組みは、時間やコストの削減だけでなく、裁判手続全体の透明性向上にも寄与すると考えられます。今後もさらにシステムが整備・拡充されることで、より効率的な裁判手続が実現していくでしょう。