最新情報への対応とLLMの限界...
弁護士必見!「pareIT」で膨大な医療記録の分析を劇的に効率化する方法
膨大な医療記録の分析をAIで効率化する「pareIT」とは?
交通事故に遭った被害者をサポートする際、弁護士が直面する大きな課題の一つが膨大な医療記録の分析と整理です。診断書やカルテ、看護記録、検査結果、手術記録など、多岐にわたる医療文書を正確かつ迅速に処理することは、手作業では非常に困難です。そこで登場するのが、AIを活用した最新ツール「pareIT」です。本記事では、弁護士が抱える医療記録の分析・整理の課題と、それを解決する「pareIT」の魅力について詳しくご紹介します。
膨大な医療記録を手作業で分析する現状
交通事故の被害者支援において、以下のような多くの医療記録を取得し、分析・整理する必要があるケースは多いのではないでしょうか。
- 診断書:医師が患者の症状を診断した結果を記載。
- カルテ(診療記録・診療録):診療内容や経過を詳細に記録。
- 看護記録:看護師が記入する治療に関する記録。
- 検査記録:CTやMRIなどの検査結果。
- 手術記録:手術の内容や方法、時間などの詳細。
- 診療情報提供書(紹介状):他の医療機関への紹介内容。
- 診療報酬明細書(レセプト):保険診療の明細書。
これらの記録を一つ一つ丁寧に確認し、必要な情報を抽出・整理する作業は、非常に時間と労力を要します。さらに、手作業によるデータ分析はヒューマンエラーのリスクも高まり、正確性が求められる法的手続きにおいては大きな問題となります。
pareITの動き方をみてみよう
まず初めに、pareITはアメリカのスタートアップ企業によって開発されたツールであり、現時点では日本語には対応していません。そのため、本ブログではpareITの主要な機能や操作方法について、必要に応じて英語部分を翻訳しながら解説していきます。
このツールはまだ日本語での利用が開始されていないため、弁護士の皆様が直ちに導入することは難しいかもしれません。しかし、最近の生成AI技術の進化を踏まえると、将来的にはこのような便利なツールが日本でも普及し、法律業務の効率化に大いに貢献する可能性が高いと考えられます。もし日本語対応が実現すれば、医療記録を扱う案件において大きなメリットが生まれることでしょう。まさに生成AIを業務特化に磨いたツールの良い例です。
医療記録のアップロード
まずは医療記録をアップロードすることから始めます。現在はPDFファイルのみがアップロード可能となっています。pareITのYoutube動画によると、数千ページもの医療記録を一括でアップロードできる規模を想定しているようです。今回はウェブ上で公開されている診断記録のサンプル(合計2ページ分)をアップロードしてみることにします。
アップロードされた医療記録の分析
アップロードすると自動的にAI分析が始まり、今回のケースでは数秒で分析が完了しました。分析完了後、「SUMMARY(概要)」画面を開くと下記のような状態が表示されます。
実際の医療記録とAI分析の結果(画面上のNARRATIVE SUMMARY)を比較検証したところ、興味深い発見がありました。日本語の医療記録は本来想定されていないツールにもかかわらず、「BUN 76mg/dl」や「クレアチニン3.7mg/dl」などの専門用語を正確に抽出し、身長・体重・血圧といった基本データまでも的確に認識することができていました。
診断結果において、システムは各種数値データから腎不全や糖尿病の可能性を適切に判定しています。
今回は2ページの医療記録でテストしましたが、このツールは大量の医療記録をアップロードした場合でも、自動的に時系列で整理し、「概要」「診断結果」「治療経過」などのフィルターを使って分析することができます。
また、「AI ASSISTANT - BETA」というタグでは、アップロードした医療記録に基づいてチャットボットが質問に答えてくれる機能があります。日本語での質問には「No information available」と表示されるため、「Tell me about the transition in memoglobin concentrations.(ヘモグロビン濃度の推移について教えてください。)」と英語で質問してみたところ、以下のような回答が得られました。
回答には[Source](情報源)が明記されており、確認したところ、内容は完璧な精度でした。スキャンされたPDFが日本語かつ手書きであるにもかかわらず、このような高精度で読み取れていることは驚くべきで、pareITの技術力の高さが伺えます。おそらくpareITも記録を分析する際にLLM(大規模言語モデル)を採用していると思われますが、このように機能の裏側でAIを最大限に活用し、ユーザーの皆様が意識することなく業務を効率化できる優れた例と言えるでしょう。
pareITの利用料金について
料金は従量課金制を採用しており、1000ページあたり$300での利用が可能です。現在はアカウント開設後7日間の無料トライアル期間が設けられています(2025年1月8日時点)。最小購入単位は2ページからで、今回テストした医療記録2ページ分は$0.6で利用できました。
pareITのデータの取り扱いについて
pareITは、医療記録を機械学習の学習データとして利用しないことを明示しており(参照:Privacy Policy - Medical Record)、また、ユーザーから提供された医療記録の機密性を保持する義務があることを明確に定めています(参照:Terms of Service - Nondisclosure)。
まとめ
膨大な医療記録の分析・整理は、弁護士業務において時間と労力を大幅に削減する重要な課題です。「pareIT」はAI技術を駆使してこの課題を効率的に解決し、法的手続きの正確性と迅速性を向上させる可能性を秘めています。日本語対応が進むことで、さらなる活用が期待されます。もし日本語対応が実現すれば、医療記録を扱う案件においてとんでもないメリットが生まれることでしょう。まさに生成AIを業務特化に磨いたツールの良い例です。今後の動向に注目し、業務効率化に役立ててください。